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『真剣な話こそ、笑いながら。』|S-Labo

『真剣な話こそ、笑いながら。』

本多 清寛
伝える社会起業家LGBTゲイSOGIセクシャルマイノリティインタビュー

 人に何かを伝えるのは難しい。正論は人を傷つけるし、正しければ正しいほど、鋭利な刃物のようになっていく。仏教を学んでいると、自分の心が激しく動揺し、今までの自分を否定されているような時が来る。それは少し間違うと毒になるかもしれない教えに感じる。

 聞く気が無い人に伝えることは避けているけれど、聞く気がある人を傷つけてしまうことは言いたくはない。そう考えるとやっぱり悩んでしまう。悟りを開いたお釈迦様ですら自分の気付きが人を傷つけると考え、沈黙を選ぼうとした。けれど、その気付きを伝えることが、人の役に立つと確信し、2500年続く布教の旅が始まった。最初はお釈迦様ですら失敗したのだ。だから伝えることは面白い。

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 ◎太 田 尚 樹 さん

やる気あり美代表。「さまざまな、ゲイの色々」をコンセプトにエンタメコンテンツを発信、世の中とLGBTのグッとくる接点を作り続けている。東京レインボープライド(LGBTのプライドパレード)2016のスポンサー営業を担当する。自称クリエイティブディレクターを決意する。公園では、よく蚊に刺される。バレーボールを愛する関西の方。

 ◎本 多 清 寛   

曹洞宗の僧侶。S-labo編集長。眉毛が太め。仏前結婚式を考えていたらLGBTに気が付く。自称シスジェンダー・ストレート。最近はもう男女とか好き嫌いの区別がよく分からなくなっている。悩み多き30代。二児の父。

はじめに

 今回、インタビューさせてもらった太田さんのセクシャリティはゲイです。2015年4月7日、Facebookでゲイをカミングアウトした投稿は、シェアが300、いいねは3600を超えました。それは太田さんの人柄や真摯な語り口に共感する人が多かったからでしょう。私もその中の一人です。

 仏教を伝えようとすると、人間にとって受け入れがたい壁に出くわします。「生産活動をせず、異性とは目も合わせない」というお釈迦様の教えは、ある意味この世の習わしを破壊する教えです。言葉にすることはできても、実行に移すのは本当に難しい。ただ、それをどうにか現実にしてみようと思えるのは、お釈迦様という人に共感したからこそです。

 太田さんは自分だけでなく、自分と同じ境遇にある人の生きづらさを解決したいと思い始めました。その手段は「グッとくる接点」を増やすこと。声高らかに権利を叫ぶのではなく、その人にグッとくるから尊重しあえる関係を目指していける。これってお釈迦様に共感する瞬間のことかも?そう思った私は、太田さんにお話を聞きたくなったのでした。

 全4回の長編となってしまいましたが、聞ける方は聞いて頂けたらと思います。願わくば信じてもらえると幸せです。

ポジティブなエネルギーで伝えること。

本多 :太田さんと初めてお会いしたとき「人を変えるのって笑いやと思うんです」って話を聞いて、仏教が人を変えるときって笑顔になってるかもしれないと思ったんです。LGBTの人権とか、差別解消とか、それって本当に大切なことなんですけど、思い詰めてしまうからすごく疲れてしまう気がします。

太田 :そうですねぇ。

本多 :その点、笑いながら話せるってのは聞くほうも話すほうも疲れない。これって凄く重要なんじゃないかと思うんです。笑っていられると、そのことにずっと注目することもできる。だから、太田さんが「人を変えるのは笑い」って言ったのは、一つの真理ではないかと。

太田 :なるほど。

本多 :とてもいい言葉だと思います。

太田 :実は、僕らが求めてるのは笑いだけじゃなくて、ポジティブな感情なんですよね。それって何かポジティブなものを生み出したいって気持ちからで。 最近「怒り」って映画を見て再認識しました。

本多 :妻夫木聡と綾野剛がゲイのカップル役をやってる映画ですよね?

太田 :そうそう。見てたら、怒りの対極には怒りしかないと改めて思ったんです。怒りからポジティブなものって生まれないんですよね。よく怒りに呑み込まれるなっていうけど、けっこう難しいですよね?親しい人が、目の前で酷いことされてんのに、それに怒らないとか無理じゃないですか。

本多 :ですね。

太田 :とはいっても、そこをどう超えて怒らないかってことはすごいテーマにしてて。そういうのを超えていけるポジティブな力を「笑い」と言ったりしてます。でも、内心は本当に腹立ってることとかもあるわけですよ。

本多 :どんなことですか?

太田 :例えば「いや、俺はゲイじゃねーし」って過剰に反応するくせに、僕に対しては「ゲイとかいいよね」とか言ってくる人がいるんですけど。

本多 :確かにいそう。

太田 :これってかなり、あるあるなんですよ。そういう時は「いやいやいや・・・」って気持ちになるし。そういう日常の小さな怒りみたいなことって、どうしてもあるんです。そこを怒らない方向にどう持って行くかみたいな。

本多 :やっぱり怒らない方がいいですか?

太田 :うん。彼らの行動に怒りで返しちゃうと、彼らからも怒りしか返ってこないなと思ってます。だから、怒りで返されないように、自分たちがどうするかを考える。グッとくるために怒りを昇華させていくみたいな作業が、伝える側には大切なんじゃないかと思います。

本多 :怒らせないってこと?

太田 :いや、まず怒らない。自分たちが。

本多 :自分たちが。

太田 :もし、怒っても落ち着いてからしか動かない。

本多 :それは、その通りですね。

伝える力のない「怒り」

太田 :そういえば、こないだ一橋大学でゲイの学生が亡くなった事件ありましたよね。あの事件に対する一部のLGBT当事者の方たちの反応に、ちょっと違和感を感じたんですよね。

本多 :どういうことですか?

太田 :セクシャリティをバラされて自殺したっていうことを、当事者ではないLGBTの人達が、ある種、嬉々として怒ってるように見えたんですよ。待ってましたといわんばかりに。その怒りをSNSとかでぶちまけていて。それって、どうなんだろうと思いました。そもそも僕たちが知れる情報はほぼテキストだけであって、亡くなった方の性格も知らないし、アウティングした方との関係性なんて想像にすぎないですし。もちろん彼が亡くなったことは、心から悲しい事件だと感じましたが、安直に「私もLGBTなんで気持ちが分かります。許せない」って怒って、それで何が伝わるのかなって思いました。平穏な気分の人は怒りに対して近づいて来ないと思うんです。

本多 :そうなんですよね。結局、怒りが怒りを連れてきたりする。

太田 :そう。だから、僕らはたとえば、表現者としてデモという形式は選ばないようにしようと思ってます。行動すること自体はリスペクトしますし、意味がないとは全く思っていません。ただ、デモの根源は怒りだと思うから、それよりも、人の気持ちが自ずと変わってしまうような、グッとくる経験を提供したい。そのやり方は日々模索中なんですけど。

本多 :お坊さんとしては、その怒りという感情は、昇華させていくべきものだと思ってます。怒っている状態の自分に気が付いたり、自分が何に怒らされているのかに気が付いたりするための材料とするって感じです。なので、怒りそのものが悪ではないわけですよね。

太田 :なるほど。

本多 :なので、怒りを他者にぶつけるとか、もっと言えば喜びも他者にぶつけたりしてはダメで、自分を知る手がかりとして怒りとか喜びの感情を扱っていくってことが必要というか。

太田 :僕も怒りってものが、絶対悪と思っているわけじゃなくて、怒りからポジティブなコンテンツは生まれないと思っている、という感じなんです。結局、グッとくるコンテンツにならないんですよね。

本多 :怒りからはグッとくるものは生まれないと。

太田 :そう思っています。でもグッとくるものって「悲しみ」からは生まれると思うんですよ。怒りと悲しみってセットな感じがしますけど、悲しみから生まれるポジティブな感じはあっても、怒りには無い。単純に言えば、悲しいシーンって泣けます。泣くとポジティブな感情が生まれやすいわけですけど、怒りが生まれる場面って基本的には泣けないですよね。酷いことされる場面とかでは、それに反発する怒りが湧いてくるけど、グッときているわけじゃなくて。

本多 :映画『怒り』でも、そういったことを感じたのでしょうか。

太田 :そうですね。改めて整理されました。なんか映画の紹介みたいになってきましたけど(笑)。例えば、映画の中で長く辛い思いをしてきた者同士が、結ばれていくんですけどね、二人のずっとあったやり場のない憤りは、長い年月をかけてゆっくりと悲しみに変わって、こうして愛という喜びを連れてきたんだなって、僕は感じたんです。色んな感じ方があると思いますが。僕はそれを見て、はぁ切ないなぁとか悲しいなぁとか、素敵だなぁって感じたんです。これって全部ポジティブな感情なんですよ、僕の中では。悲しみは喜びを連れてくるって思ってます。

本多 :やっぱり、怒り単体だと喜びは連れてこない?

太田 :こないと思いますねぇ。「怒ってる風」という体裁のものはあっても、真の怒りはなんかコンテンツとして力が全くない気がします。

義憤はポジティブなエネルギー

本多 :義憤みたいな怒りってどうでしょう? 例えば、不動明王は怒りの権化みたいに思われてますけど、怒りをもって仏敵を滅するのがお役目です。それって、個人攻撃ではなくて義憤みたいな怒りなんですよね。

太田 :あー、なるほどですね!

本多 :怒っているわけじゃないんですよ。不動明王は。イライラしているんじゃなくて、憤っているんですよ

太田 :なるほど!納得します。確かに「怒り」というより「義憤」ですね。例えば、岡本太郎も義憤ですよね。

本多 :なるほどなるほど。

太田 :だからいいんだろうなぁ。

本多 :その通りですね。だから、岡本太郎ファンになることができる。個人攻撃をするような怒りだとファンには成りにくい。

太田 :そういった意味では義憤はポジティブなエネルギーですよね。

本多 :「お前いい加減にしろよ!」って言いたくなるような怒りは、コンテンツにはならないんでしょうね。

太田 :うんうん。構造とかシステムとかへの怒りは義憤になりますね。

本多 :そうです。そう思います。

太田 :だから、一人の人間とか、一つの組織とか、一つの何かへの怒りって人を巻き込めないですよね。

本多 :僕、アベ政治許せないってのを見るとなんだか辛いんですよ。安倍首相一人で政治ってやってるわけじゃないし。自民党の憲法草案とか見ると、これ大丈夫か?って思いますけど、それは個人攻撃で変わる話じゃないし。

太田 :ああ、分かります。

本多 :個人攻撃している人を見ると疲れちゃうんですよ。悲しくなるというか。

太田 :そうなんですよね。本当なら、許せない「政治の構造」があるはずで、そこへの怒りにしないと。

本多 :義憤にしていかないとってことですよね。

太田 :政治に対して、怒りの感情を持ち続けてるってことは、ある意味で政治を他人事に感じている証拠な気がします。政治が自分のことだったら、怒ってばっかりにはなりませんもんね。

本多 :うんうん。

太田 :なんか、難しい話になりましたね!政治のこと全然分かってないです(笑)。でも、『やる気あり美』のメンバーはこういう考えを肌感覚で共有し合えてますね。だから、企画会議がスイスイ進むし、合意にすぐ至るっていうか。ミーティングで怒り散らすとかいうことが起きない。一橋の学生の件も、悲しいねっていうことはたくさん話しましたが。

本多 :あの事件って、ゲイだから起きたというよりは、排斥されたことによる自殺だと思うんですよ。好きな人に拒否されたことが大きいように感じました。

太田 :難しいですけどね。LGBTの方がストレートよりも「排斥された」と感じる事象が起きることは多いのは事実だと思うので。でも、とにもかくにも、さっきも言いましたが、亡くなった学生と会って話したこともない僕らは、何も分かっていないと思うんです。そこは慎重でいたい。

本多 :一時の感情に遊ばれないようにしたいですね。

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