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物語からみる仏教 ~芥川龍之介『羅生門』~|S-Labo

物語からみる仏教 ~芥川龍之介『羅生門』~

中野 孝海
仏教考察

文豪・芥川龍之介が記した短編小説『羅生門』。
この作品は、人として超えてはならない一線を越えてしまった人間の姿を描いたものです。
罪という存在と対面した時、私たちはどのような思いを抱き、どのような行動に走るのでしょうか?
そのことについて、少しお話いたします。

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『羅生門』

 文豪芥川龍之介の作品の一つに『羅生門』という短編小説があります。この小説に登場するのはたった二人の人物。一人の「男」と一人の「老婆」です。

 男は下人でした。下人とは、主家に仕えて軍事・家事・農業などの雑役に従った、身分の低い人物の呼称です。当然、生活は安定しません。物語は、男が突如クビになり仕事を失うところから始まります。

 当時の京都は、天災に見舞われ、流行り病が蔓延する廃れた都でした。そこで生きていくことは非常に困難であり、生き残るためには手段を選んではいられません。男には「盗人」になる選択肢以外、残されてはいませんでした。しかし、男にはどうしてもそれを受け入れることができず、羅生門の下で途方に暮れてしまいました。

老婆との出会い

 羅生門は大きな建物であり、門というよりはどちらかというと一階部分を通り抜けることのできる巨大な建物といった方が近いでかもしれません。

 男はそこで、無造作に打ち捨てられた死骸から髪の毛を引き抜く老婆に出会います。その姿に〝悪〟を見出した男は老婆に詰め寄ります。「何故このようなことをするのか?」男はその理由を問いただしました。

 ただでさえ捨てられているような人々に対し、その遺体を死骸として扱う老婆に激しい怒りを覚えたのでしょう。もしかすると、下人として扱われた男は、死骸として扱われる人々に、自分の姿を見たのかもしれません。しかし、返ってきた答えは下人が思っていた以上に平凡な答えでした。

「この髪を抜いてな、鬘(かつら)にしようと思うたのじゃ」

生きるために

 死体の髪を集め、それを鬘に仕立て上げることによって生きながらえてきた老婆は、つらつらと自分の身の上と自身の行いについて語り始めます。

 ここにいる者どもは、皆生きるために何かしらの悪事を働いていてきた。それをしなければ餓死してしまうからだ。皆生きるために仕方なくやっていたということをよく理解しておる。

だからこそ、私のやっていることも許してくれるはずだ。

 それが老婆の言い分でした。そしてこの言葉は男にある決意を促したのです。

「では、己が引剥(ひきはぎ)をしようと恨むまいな」

 己もそうしなければ、餓死をする体なのだ。

 男はそう言うと、老婆の着物を奪い取り、どこかへと走り去ってしまいました。新潮文庫のものには、この後の男について詳しくは記されていません。しかし、初出稿のものには京都の町へ強盗を働きに行く男の姿が描かれています。今までは苦しくとも、まだ普通の人生を送っていたはずの男は、老婆との会合によって悪人へと身を落としてしまったのです。

『羅生門』から見える人間の姿

 この物語は、越えてはいけない一線を越えてしまった男の姿を描いています。しかし、その一線は追い詰められた人間にとって、ほんの一言で越えてしまう境界線でした。

 犯罪に関するニュースなどを見ていると、関係者のインタビューなどで「ごく普通の人だった」「あんなことをする人だとは思わなかった」という言葉を耳にします。

 善人だった人が、とある出来事がきっかけで悪事を働いてしまう。

 人が悪へと落ちるきっかけというものは、私たちが思っている以上に瞬間的なものなのかもしれません。

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