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死後の神格化 ~松本智津夫元死刑囚の死から考える~|S-Labo

死後の神格化 ~松本智津夫元死刑囚の死から考える~

中野 孝海
考察

 2018年7月6日、法務省はオウム真理教の開祖であり、地下鉄サリン事件など数多くの事件に関与したとされる松本智津夫ちづお元死刑囚並びに元幹部ら7名の死刑が執行されたことを明らかにしました。

 しかし、地域を守る警察や、国家体制の維持を担う公安当局などは、死刑執行後も後継団体の動向を警戒し、松本元死刑囚の「神格化」と、その遺骨が悪用されることを警戒しています。

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地下鉄サリン事件発生から今年で23年。事件当時、筆者はまだ小学1年生でした。

松本死刑囚の遺骨

 通常荼毘に付された死刑囚の遺体は、2年間保管された後、拘置所のある行政地区の墓地に合葬されます。

 ただし、合葬される前に遺族や故人の関係者などからの要望があれば、何時でも引き渡すことができると法律上では定められています。今回死刑が執行された松本死刑囚の遺骨も、本来であればそのどちらかの道筋を辿る筈であったことでしょう。

 しかし、死刑が執行された今、警察や公安当局が最も危惧していることがあります。それは松本元死刑囚の「神格化」、一人の実在する宗教者としてだけでなく、宗教自体のシンボルとして信仰の対象になることです。

宗教における神格化

 宗教の歴史において実在の人物が死後神格化され、信仰の対象として人々に崇拝されるというケースは珍しくはありません。

 長い歴史を持つ伝統宗教の多くは、その人物が生まれた場所や亡くなられた場所、埋葬された場所など縁のある土地などを〝聖地〟として崇め、巡礼の場とし、今も多くの修行者や信者が礼拝の対象として訪れます。

 土地以外にも、その人物の遺骨や遺髪などの身体の一部や、身に纏っていた装飾品などが少しでも残っていれば、それ自体が人々の崇拝の対象となることさえあります。

 例えば、仏教の開祖であるお釈迦様が生前立ち寄った場所や修行や説法を行った場所などは、2500年以上たった今も聖地として崇められています。以前このサイトで取り上げた仏舎利(お釈迦様もしくは悟りを開いた僧侶の遺骨のこと)も、今では世界中に散らばり仏教徒の信仰の対象として大切に保管され、供養がなされています。

 宗教において縁のある土地や身体の一部、装飾品などは、その教えを信仰する信者にとって重要なシンボルとなりえるのです。

松本元死刑囚の神格化

 松本元死刑囚は、1989年に新興宗教団体「オウム真理教」を設立しました。同宗教団体の開祖であり教祖であり、多くの信者を獲得しその信望を集めたという点においは、宗教者として評価することができるでしょう。

 しかし、人々を扇動し、1995年に都内で発生した地下鉄サリン事件などを含む数多くの重大事件に関与した人物という点においては見過ごすことはできません。松本元死刑囚を含む関係者ら13名の死刑は全て執行されましたが、まだまだ解決には至らない部分も多く、完全な幕引きとは到底言えないでしょう。

 その中で警察や公安当局が今最も恐れているのは、その遺骨や埋葬地がオウム真理教の流れをくむ後継団体の信仰の対象となり、その布教活動や勢力の拡大などに利用もしくは悪用されることです。そして、それを防ぐために、死刑執行後すぐに各関係団体を対象とした立ち入り調査が各地の関係団体を対象に一斉に行われました。

 松本元死刑囚の遺骨についても、その引き取り先や埋葬方法について慎重な議論が行われています。しかし、どのような対応や対策を取ったとしても、その神格化を止めることは非常に難しいといえるでしょう。

 

死後残される思想

 現在対策や対応が行われているのは、主にオウム真理教の流れを汲む関係団体が中心です。しかし、それ以外の人物の手によって悪用されるという可能性も決してゼロではありません。宗教団体に所属していなくても、その思想に強い影響を受け、傾倒している人物の存在は否定することができません。彼らに必要なのは松本元死刑囚もとい〝麻原彰晃〟という存在とその思想であり、形のないものを取り締まるということはできないからです。

 また、インターネットやマスメディアが普及した現代社会の在り方も更に拍車をかけます。信者の側からみれば何時どのような場所であったとしても簡単に、信仰の媒体となりうる写真や動画、情報を入手することができるという利便性があります。逆に取り締まる側からしてみれば、それら全てを監視し、一つ一つに適切な対応を行うことは、非常に困難もとい不可能といえるでしょう。

 現代社会の法律によって裁かれた松本元死刑囚の思想や存在は、今度は現代社会の最新技術によって残され拡散されていく。何とも皮肉のようにさえ思えます。

妄信することの危険性

 永平寺を開かれた道元禅師が弟子に向けてこのような話をしたことがあります。

 その昔、中国に金の仏像と仏舎利が納められた骨箱を大切に所持していた修行僧がいました。この修行僧は心からその骨箱を大切に扱い、供養を行っていましたが、師匠に促されその箱を開けてみると、中に入っていたのは仏舎利ではなく、とぐろを巻いた一匹の毒蛇だったという話です。

 自分自身の信じているものは一体どういうものなのか。その真意を理解せずにただただ妄信し、崇拝することの愚かさを表わした話のように私は感じます。

 日本をはじめ数多くの国々では、基本的な人権として「信教の自由」が認められています。どの宗教を信じるかどうかはあくまでその人の自由であり、何を信じるべきかを他人が強要することはできません。

 だからこそ、その宗教に所属する人々がどのようなもので、どのような思想の下で活動しているのか。改めて考え、見直し、自分の意志で選択していくことが今後求められてくるのではないでしょうか。

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